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致死率ほぼ100%…いまでも怖い「狂犬病」の知られざる現実

(公開日:2020/5/22)

(更新日:2020/5/22)

 

クマリン
先日のニュースで日本で狂犬病にかかって亡くなったひとがいたみたいだから、注意喚起のために今日は狂犬病のついて紹介していくよ。

 

今回はそういった疑問に答えていくよ。

 

この記事がおススメな人

・狂犬病って致死率100%なの?

・日本でもかかるの?

・犬以外でも狂犬病ウイルスもってるの?

 

「狂犬病」という病名を聞いたことがあるだろうか

 

イヌを飼っている人ならば、飼いイヌへのワクチン接種を経験しているはずだ。その名称からも、イヌ特有の病気と誤解されがちである。しかし狂犬病は人畜共通感染症であり、ヒトもかかる病気である。

 

5月9日、フィリピンを旅行中に子イヌに指をかまれた24歳のノルウェー人女性が、帰国後に狂犬病を発症して亡くなったと報じられた。ノルウェーでの狂犬病による死者は200年ぶりのこと。しかし、実は毎年世界では約6万人が命を落とすほど深刻な病気なのである。

 

発症したらほぼ確実に死に至る「狂犬病」

 

犬以外の動物にも感染する。過去の報告では狂犬病ウイルスは、イヌ以外でもネコ、ウサギ、リス、キツネ、アライグマ、コウモリ、マングースなど数多くの哺乳類で保有が確認されている。

 

どんな症状か。例えばイヌが狂犬病ウイルスに感染すると、徐々に興奮状態になってうろうろ歩き回ったり、目に入るものに手当たり次第に咬みついたり、水、光、音などに過敏な反応を示すようになる。最後はウイルスが脳や神経に回ってマヒ状態となり、舌を出してダラダラよだれを垂らし、やがて昏睡状態になり死に至る。

 

ヒトへの狂犬病ウイルス感染の多くは、こうした動物に噛まれることで起きる。そしてそれから1~3カ月の潜伏期間を経て、発熱、食欲不振、噛まれた部位の痛みやかゆみに始まり、イヌと同様に水や風などを極度に怖がり、興奮、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状を起こし、やがて昏睡状態になり、呼吸障害で死亡する。

 

狂犬病の怖いところは、いったん発症したら有効な治療法はなく、ほぼ確実に死に至ることだ。年間約6万人もの命が奪われる一方、発症後に生き残った事例は過去の医学論文による報告では世界で6人のみだ。

 

狂犬病対策として知っておくべきこと

 

 

とりあえず現在、日本人で最も狂犬病感染リスクが高いのは、アジア圏を旅行する人である。そうした人が取れる最大の予防策は、何よりも不用意にイヌやネコや野生動物に近づかない、触らないことだ。

 

屋外にいる野良イヌ、野良ネコはもちろんのこと、たとえ一般家庭で飼育されているイヌやネコでも、ワクチン接種の有無が分からない場合は同様の対応を取る。

 

また念を期すならば、予めヒト用の狂犬病ワクチンを接種するという手もある。駐在や長期出張などある程度の期間滞在する人はお勧めしたい。ネット上で検索すれば、海外渡航者向けのワクチン接種を念頭に置いた「トラベルクリニック」などがあり、こうした医療機関で狂犬病ワクチンが接種できる。

 

ちなみにこうした医療機関で接種できる狂犬病ワクチンには、日本で厚生労働省から製造承認を受けている国内産ワクチンと、日本で製造承認を受けていない輸入ワクチンがある。もっとも輸入ワクチンは海外では一般的に使用されているもので、安全性にはほとんど問題はない。

 

国内産ワクチンは3回の接種が完了するのに半年かかるのに対し、輸入ワクチンは3回接種が1カ月で完了するという違いがある。急に渡航が決まった場合などには前者は不向きだ。

 

アジア圏への渡航時は要注意

 

 

日本でもかつては狂犬病で死ぬ人がいた。日本では1950年(昭和25年)に狂犬病予防法が制定され、飼いイヌの登録とワクチン接種の義務化、野犬の駆除などの対策が実行に移された。日本国内の感染で狂犬病を発症したのは1956年の死者1人が最後だ。その意味で日本国内での感染リスクは減っている。

 

ただ、1970年にネパールに滞在中にイヌにかまれて帰国後に狂犬病を発症した日本人が死亡。そして2006年には36年ぶりに、やはりフィリピンでイヌに噛まれて帰国後に狂犬病を発症し、死亡した2人が報告されている。

 

一歩海外に出れば、まだまだヒトへの狂犬病感染リスクは少なくない。

 

実際、厚生労働大臣が指定する「狂犬病清浄地域」、すなわち狂犬病が根絶されたと認められる国・地域は、全世界で、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー、グアム、ハワイ、イギリス、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、アイスランドの11か国・地域のみだ。

 

より詳細にその状況を見てみる。世界保健機関(WHO)が発表している全世界での狂犬病による年間の推計死者数は5万9000人。この95%がアジア、アフリカ地域での発生だ。

 

最多はインドの7437人。以下、多い順にエチオピアが4169人、ナイジェリアが3501人、中国が2635人、パキスタンが1623人、バングラディシュが1192人、インドネシアが1113人など。日本人の渡航者が多い国も少なからず含まれる。

 

実際、日本政府観光局の2017年統計によると、日本人の国別年間渡航者数は、アメリカに次いで2位の中国が約268万人、インドネシアが約57万人、インドが約22万人である。日本人の年間渡航者数が10万人を超えるフィリピン、カンボジア、ミャンマー、ベトナムでも、狂犬病の年間推計死者数は数百人規模にのぼる。

 

この他にも日本人渡航者が年間約2万7000人のネパール、年間約3万2000人のラオスでもそれぞれ300人超、200人超の死者が発生している。さらに年間約85万人の日本人が渡航するタイでも10数人ではあるが死者の報告がある。

 

今後夏季休暇などで、こうした国々への日本人渡航者が増えていく時期だ。冒頭で紹介したノルウェー女性の死亡例は少なからぬ日本人にとって「明日は我が身」なのである。

 

日本でのリスクが皆無と侮るな

 

 

そして1950年の狂犬病予防法施行後、わずか7年という速さで国内から狂犬病を排除できた日本でも、安心しきれない状況は徐々に強まっている。

 

繰り返しになるが狂犬病ウイルスはほぼすべての哺乳類に感染する。特に狂犬病が根絶されていない海外から、狂犬病ウイルスに感染した動物が流入する可能性は常に存在する。日本に輸入される動物は、農水省が公表している動物検疫年報(2013~2017年)で見ると、頭羽数で年間45~60万にも達する。

 

もちろんこうした動物検疫では、狂犬病ウイルスの感染可能性が高いイヌ、ネコ、アライグマ、キツネ、スカンクは輸入時に狂犬病ウイルスのチェックが行われている。しかしこの統計には、動物検疫対象でなく、かつ過去に狂犬病ウイルスの感染が確認されているハムスター、リス、フェレットなどは含まれていない。

 

一方、国内では狂犬病予防法に基づき、飼いイヌは登録と狂犬病ワクチンの接種が義務付けられてはいる。

 

しかし、1994年ごろまでは登録している飼いイヌの狂犬病ワクチン接種率は99%以上だったが、2017年には71.4%まで接種率は低下している。都道府県別で見ると、接種率最低の沖縄県では50.5%と、半数の飼いイヌがワクチンを接種していない。

 

しかもこの数字はあくまで狂犬病予防法に基づき、2017年時点で登録されている約633万頭でのことだ。ところが日本ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、国内での推計飼いイヌは2017年時点で892万頭いる。

 

日本ペットフード協会の推計値に基づけば、既に全国の飼いイヌのほぼ半数はワクチン接種を受けていないことになる。日本でも今後も安全と言い切る訳にはいかないのだ。

 

狂犬病対策として知っておくべきこと

 

 

とりあえず現在、日本人で最も狂犬病感染リスクが高いのは、アジア圏を旅行する人である。そうした人が取れる最大の予防策は、何よりも不用意にイヌやネコや野生動物に近づかない、触らないことだ。

 

屋外にいる野良イヌ、野良ネコはもちろんのこと、たとえ一般家庭で飼育されているイヌやネコでも、ワクチン接種の有無が分からない場合は同様の対応を取る。

 

また念を期すならば、予めヒト用の狂犬病ワクチンを接種するという手もある。駐在や長期出張などある程度の期間滞在する人はお勧めしたい。ネット上で検索すれば、海外渡航者向けのワクチン接種を念頭に置いた「トラベルクリニック」などがあり、こうした医療機関で狂犬病ワクチンが接種できる。

 

ちなみにこうした医療機関で接種できる狂犬病ワクチンには、日本で厚生労働省から製造承認を受けている国内産ワクチンと、日本で製造承認を受けていない輸入ワクチンがある。もっとも輸入ワクチンは海外では一般的に使用されているもので、安全性にはほとんど問題はない。

 

国内産ワクチンは3回の接種が完了するのに半年かかるのに対し、輸入ワクチンは3回接種が1カ月で完了するという違いがある。急に渡航が決まった場合などには前者は不向きだ。

 

動物に噛まれた場合の対応は?

 

 

海外で不幸にも動物に噛まれてしまった時には、その動物が何であっても、狂犬病ウイルスに感染している可能性を考え、出来る限りの緊急対応を取るべきだ。まず噛まれた部分を石鹸と流水で15分以上洗う。

 

そのうえで24時間以内に現地の医療機関で「曝露後接種」と呼ばれる発症予防のためのヒト用狂犬病ワクチンの接種を行う。その際、もし現地で入手可能ならば、噛まれた部位への狂犬病ウイルス用の抗体製剤も注射する。

 

この曝露後接種は期間をあけて合計5~6回必要だ。

 

ちなみに曝露後接種は事前に狂犬病ワクチンを接種していた人でも行われる。ただ、事前にワクチン接種を行っている人は、その回数が2~3回で済む点が違う。

 

WHOの推計では、この曝露後接種は全世界で年間1500万人がうけていると発表している。この数字は2つの読み方ができる。1つはそれだけ日本の外では狂犬病のリスクに満ちているということでもあり、もう1つは噛まれた後でも迅速に対処すれば死という最悪の事態は相当避けられるということだ。

 

狂犬病が発症するとほぼ100%死に至ると前述したが、狂犬病に感染している動物に噛まれたらほぼ100%死に至るということではない。発症を抑えることができればよい。

 

アジアの発展途上国などに行く場合には、できれば予防ワクチンを、そして、動物に噛まれたら15分流水で流した後に即座に現地の医療機関に行って曝露後接種をしてほしい。その点を考えても、海外旅行保険には入っておくべきだ。

 

まさに狂犬病対策は「備えあれば憂いなし」であり、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」なのである。

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